<日米密約>西山さん「国政調査権発動を」 衆院外務委(毎日新聞)

 沖縄返還(72年5月)の際に、日本側が米軍用地の原状回復補償費を肩代わりした密約問題が取り上げられた19日午前の衆院外務委員会。米国が支払うべき費用を日本が負担していた疑惑を指摘する記事を書いた元毎日新聞政治部記者の西山太吉さん(78)も参考人の一人として証言し「もっと国民が知らなければならない密約がある」と訴えた。【篠原成行、合田月美】

 西山さんは、自らが報じた密約について「氷山の一角」と指摘。その後の「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)につながる日本側の財政負担を決めた密約こそ「最も国民が知らなければならないものだ」と力説し、「国政調査権を発動してこの点の解明をお願いしたい」と述べた。

 かつて外務省機密漏えい事件で逮捕された西山さんは、国や外務省についての思いを問われると、「個人的な問題を国会で述べることは好ましくない」としつつも、「ただ、言いたいのは、公平なる裁き、法のもとの平等、その原則が完全に破られてしまった。本来、裁かれてしかるべき者が全く裁かれずに今まできている。政府の秘密は全く追及されなかった、日本全体を覆っている構造、グレードの低さが問題だ」と語気を強めた。

 西山さんは外務省内で密約関連文書が廃棄されていたことについても言及。「官僚ベースでは明らかにされない。国会が国政調査権を発揮してほしい」と指摘した。

 ◇38年前、政府は一貫否定

 沖縄返還が翌月に迫った72年4月の国会でも、密約問題は取り上げられていた。旧社会党の横路孝弘議員(現衆院議長)らは、西山太吉さんから入手した外務省の機密電文を手に追及したが、政府側は一貫して密約を否定し続けた。

 電文には、米軍用地の原状回復補償費400万ドルを日本側が肩代わりして対米支払いを3億2000万ドルに積み増す経緯や、肩代わりを了解する秘密書簡の作成を米側から求められていたことなどが示唆されていた。

 これに対し、福田赳夫外相(当時)は「400万ドルを上乗せして3億2000万ドルとなったことはいかなる過程においてもない」「良心においてお答え申し上げる。虚偽の答弁は一切しておりません」と真っ向から否定。吉野文六・外務省アメリカ局長(同)も「我々は(米の要求に)絶対に応じなかった。メモ(秘密書簡)はない」と述べていたしかし、今月9日に公表された外務省調査チームの報告書は肩代わりの事実を認め、政府側答弁が虚偽だったことを裏付けた。

 西山さんは、機密電文を入手したことで罪に問われて78年に有罪が確定したが、最高裁決定は「早晩国会における政府の政治責任として討議批判されるべきであったもの」と国会での真相解明を注文していた。【臺宏士】

 ◇ことば 沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりを巡る密約

 72年5月に発効した沖縄返還協定の交渉過程で、米側が負担するはずだった土地原状回復費用などを日本が肩代わりすることにした日米間の密約。密約を報じた西山太吉毎日新聞記者(当時)らが72年、国家公務員法違反の疑いで逮捕された。00年、米国の情報公開で密約を裏付ける公文書が判明。西山氏は、関係文書の情報公開などを求める裁判を起こし、06年には元外務省アメリカ局長の吉野文六氏が密約の存在を証言した。外務省の有識者委員会は9日、「広義の密約」があったと認定する報告書を公表した。

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